
胸水貯留や好酸球増多を認めず,外科的切除により診断した肺吸虫症の若年外国人女性例
尾下 豪人a 熊田 高志b 吉岡 宏治a 池上 靖彦a 宮原 栄治b 山岡 直樹a
a国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
b同 呼吸器外科
症例は中国出身の30代女性.血痰で発症し,胸部CTで右肺上葉の空洞影を指摘された.胸水貯留や好酸球増多は認めず,気管支鏡検査で診断に至らなかった.血痰が持続するため,外科的切除術を施行したところ,病変部に虫卵と肉芽腫性病変を認めた.ウェステルマン肺吸虫および宮崎肺吸虫に対する抗体価が高値だった.肺吸虫症では胸水貯留や好酸球増多が多くみられるが,それらを欠く症例もある.肺吸虫症の好発地域出身者において肺・胸膜病変をみた場合,摂食歴を確認する必要がある.
Received 28 Jun 2023 / Accepted 28 Jul 2023
尾下 豪人
〒730–0822 広島県広島市中区吉島東3–2–33
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(6): 339-342, 2023