
化学免疫療法後にサルベージ手術を行い完全奏効が確認された肺腺癌の1例
岩﨑 史a 宮内 栄作a 井上 千裕b 杉浦 久敏a 野津田泰嗣c 岡田 克典c
a東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野
b同 医学系研究科医科学専攻病理病態学講座病理診断学分野
c東北大学加齢医学研究所呼吸器外科学分野
近年,進行癌において,原発巣以外の転移個数が少ないoligometastasisと呼ばれる概念が注目されている.今回我々は,肺転移,脳転移を伴う進行肺腺癌に対して,定位放射線治療と薬物療法を行い,唯一残存した右上葉原発腫瘍切除を実施した1例を経験した.切除された病変は病理学的完全奏効が確認されたため,無治療経過観察を行っているが,術後3年間にわたり再発なく経過している.進行肺癌に集学的治療を行い病理学的完全奏効が確認され長期生存が得られた症例は希少であり,今後症例の蓄積と検討が望まれる.
肺癌 免疫療法 サルベージ手術 オリゴメタスタシス 定位放射線治療
Received 8 May 2023 / Accepted 30 Aug 2023
岩﨑 史
〒980–8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1–1
東北大学大学院医学系研究科内科病態学講座呼吸器内科学分野
日呼吸誌, 12(6): 319-323, 2023