
抗ARS抗体が陽性を示したびまん性肺胞出血の1例
新井 直人 髙﨑 俊和 坂東 政司 矢尾板 慧 飯島 彰長 萩原 弘一
自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
70歳男性.発熱と呼吸困難を主訴に近医を受診し,胸部CTでびまん性すりガラス陰影を認めた.気管挿管下に気管支肺胞洗浄を施行し,血性洗浄液およびヘモジデリン貪食マクロファージを認めた.びまん性肺胞出血の診断でステロイドパルス療法を施行し,びまん性すりガラス陰影の改善を認めた.後日,抗ARS抗体(抗EJ抗体)陽性が判明した.びまん性肺胞出血を合併した抗ARS抗体症候群の報告例は稀ではあるが,抗核抗体やANCAとともに,抗ARS抗体も確認すべき自己抗体であると考えられた.
Received 20 Mar 2023 / Accepted 13 Jun 2023
新井 直人
〒329–0498 栃木県下野市薬師寺3311–1
自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
日呼吸誌, 12(5): 302-306, 2023