
環境誘発試験や環境調査が原因究明に有用であった夏型過敏性肺炎の母子同時発症例
生島 弘彬 酒谷 俊雄 吉田 敬士 小原さやか 竹島 英之 臼井 一裕
NTT東日本関東病院呼吸器内科
症例は37歳娘と74歳母親.娘が呼吸困難で搬送され,病歴,画像,抗Trichosporon asahii抗体陽性から夏型過敏性肺炎と考えられた.ほぼ同時に母親に呼吸困難,咳嗽の症状が出現した.娘は環境誘発試験で症状が再現された.環境調査で,母娘が自宅で主に過ごす複数箇所でTrichosporon属を検出したが,無症状の父親が主に滞在する箇所では検出されなかった.転居後,母娘は症状の再燃なく経過した.家族内同時発症の夏型過敏性肺炎の診断や家族内差異の原因究明に環境誘発試験や環境調査が有用であった.
Received 25 Apr 2023 / Accepted 31 May 2023
生島 弘彬
〒141–8625 東京都品川区東五反田5–9–22
NTT東日本関東病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(5): 246-250, 2023