タクロリムス使用中に急速増大したROS1融合遺伝子陽性肺腺癌の1例
丸山 総一a 髙橋 太郎a 早瀬ヨネ子b 小林 大輔b 本多 隆行c 杉山幸比古a
a地域医療振興協会練馬光が丘病院呼吸器内科
b同 病理診断科
c東京医科歯科大学病院呼吸器内科
タクロリムス(tacrolimus:Tac)は肺癌を含む悪性腫瘍の進行に関与することが示唆されている.症例は43歳女性.全身性エリテマトーデスの診断でTacが開始されたが,投与開始4ヶ月後のCTで右下葉に5cm大の不整形腫瘤,縦隔・鎖骨上窩リンパ節腫大が新たに出現した.ROS1融合遺伝子陽性の肺腺癌(cT4N3M0,cStage ⅢC)と診断,クリゾチニブ(crizotinib)を開始し腫瘍の縮小を認めた.若年女性でTac使用中に肺癌が見つかり,極短期間で急速に増大した.本剤投与中は肺癌の出現も念頭におく必要がある.
タクロリムス 全身性エリテマトーデス ROS1融合遺伝子 印環細胞癌 Lung cancer in young adults
Received 13 Feb 2023 / Accepted 8 May 2023
丸山 総一
〒179–0072 東京都練馬区光が丘2–5–1
地域医療振興協会練馬光が丘病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(4): 210-214, 2023