急激な経過をたどり死亡した高病原性肺炎桿菌による市中肺炎の1例
蛯名 広貴a 近藤 友喜b 久野 泰雅c 井上 正英c 宮崎 晋一c 山下 良c
a市立四日市病院内科
b名古屋大学大学院医学系研究科呼吸器内科
c市立四日市病院呼吸器内科
症例は生来健康な59歳男性.来院2時間前より右胸痛,呼吸困難が出現し,当院救急外来を受診した.発熱,低酸素血症を呈し,胸部画像にて右肺上葉に浸潤影を認め,市中肺炎の診断に至った.当科入院後,呼吸不全は急激に増悪し,挿管人工呼吸管理を行った.集中治療室入室後,敗血症性ショックを呈し,多臓器不全を合併した.昇圧薬,腎代替療法などの支持療法を行ったが,来院31時間後に死亡した.喀痰,血液培養より肺炎桿菌が検出され,string testは陽性であった.遺伝子解析の結果,高病原性肺炎桿菌の同定に至った.
市中肺炎 高病原性肺炎桿菌 莢膜型K2 シークエンスタイプ86
Received 6 Jan 2023 / Accepted 12 May 2023
宮崎 晋一
〒510–8567 三重県四日市市芝田2–2–37
市立四日市病院内科
日呼吸誌, 12(4): 205-209, 2023