
薬剤性肺炎が疑われ,メトヘモグロビン血症を同時発症した1例
高知大学医学部呼吸器・アレルギー内科学
86歳の女性.尋常性乾癬の治療目的にジアフェニルスルホン(diaphenylsulfone:DDS)の内服を開始した2ヶ月後に38℃の発熱,乾性咳嗽が出現した.胸部CTですりガラス陰影と末梢血好酸球増多を認めたため,薬剤性好酸球性肺炎を疑い,気管支鏡検査を予定した.しかし,著明なSpO2の低下を認め,動脈血液ガス分析にて,SpO2の値とSaO2の値の乖離と,メトヘモグロビン(MetHb)血症が判明した.後天性MetHb血症と薬剤性肺炎の同時発症が疑われ,重症度評価に影響をきたした1例について報告する.
メトヘモグロビン血症(MetHb血症) ジアフェニルスルホン 薬剤性肺炎 Saturation gap
Received 20 Jan 2023 / Accepted 24 Feb 2023
佃 月恵
〒783–8505 高知県南国市岡豊町小蓮
高知大学医学部呼吸器・アレルギー内科学
日呼吸誌, 12(3): 174-178, 2023