
巨大肺嚢胞と気管支粘膜の毛細血管拡張を伴った肺過誤腫の1例
尾下 豪人a 熊田 高志b 吉岡 宏治a 池上 靖彦a 宮原 栄治b 山岡 直樹a
a国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
b同 呼吸器外科
症例は68歳の女性.胸部画像検査にて偶然に左肺上葉の腫瘍を発見された.胸部CT所見からは肺過誤腫が疑われたが,腫瘍の末梢側に巨大肺嚢胞を伴い,気管支鏡検査では腫瘍近傍の気管支粘膜に著明な毛細血管拡張を認めた.腫瘍径が大きく,気胸や感染,喀血などの危険性があると考え,胸腔鏡下左肺上葉切除術を施行した.良性腫瘍が疑われる症例であっても腫瘍径が大きい場合には周囲組織の圧排によってさまざまな合併病変をきたすことがあるため,外科的切除を検討すべきである.
Received 22 Nov 2022 / Accepted 27 Jan 2023
尾下 豪人
〒730–0822 広島県広島市中区吉島東3–2–33
国家公務員共済組合連合会吉島病院呼吸器内科
日呼吸誌, 12(3): 170-173, 2023