
オクトレオチドが長期間奏効した肺非定型カルチノイド術後再発の1例
笹本 磨央a,b 柴田 祐司a 宇田川 響a 中井登紀子c 二宮 浩樹b 後藤 功一a
a国立がん研究センター東病院呼吸器内科
b医療法人社団圭春会小張総合病院呼吸器内科
c国立がん研究センター東病院病理・臨床検査科
症例は41歳女性.20XX-8年に肺非定型カルチノイドの診断で手術を施行した.その後,遠隔転移再発に三度の手術を施行した.20XX年に多発頸部リンパ節転移を認め,ソマトスタチン受容体シンチグラフィ(somatostatin receptor scintigraphy:SRS)で同部位へのインジウム111標識ペンテトレオチドの集積を認めたため,オクトレオチド(octreotide)を開始した.投与1ヶ月で腫瘍は著明に縮小し,5年以上奏効が持続している.オクトレオチドは毒性が少なく,特にSRS陽性例では有用な治療選択肢となる可能性がある.
肺カルチノイド 非定型カルチノイド オクトレオチド ソマトスタチン受容体シンチグラフィ
Received 2 Feb 2022 / Accepted 2 Jun 2022
柴田 祐司
〒277–8577 千葉県柏市柏の葉6–5–1
国立がん研究センター東病院呼吸器内科
日呼吸誌, 11(5): 315-320, 2022