
マラソンを契機に発症した運動誘発性肺胞出血の1例
浦田 知之a 寺澤 優代a 山根 高a 中野 貴之b 岡本 卓b
a高知医療センター呼吸器内科
b同 呼吸器外科
症例は49歳男性.マラソン完走後に呼吸困難,血痰が出現し,胸部単純X線画像で両側肺に浸潤影が認められ,呼吸不全で当院に紹介入院となった.CTでは両側肺に広がる浸潤影,すりガラス陰影を認め,気管支鏡検査で肺胞出血と診断した.血管炎症候群や膠原病の合併はなく,心機能も正常で定期内服薬もないこと,マラソン前の体調は良好であったとのことより,激しい運動を契機とした運動誘発性肺胞出血と診断した.入院後は抗菌薬投与と酸素吸入のみで肺野の陰影は消失した.わが国では運動誘発性肺胞出血の報告は稀であり報告する.
Received 21 Jan 2022 / Accepted 31 Mar 2022
浦田 知之
〒781–8555 高知県高知市池2125–1
高知医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 11(4): 223-227, 2022