体外式膜型人工肺にて救命し得た抗ARS抗体陽性間質性肺炎の1例
常岡 祐希a,* 河野 拓a 山下 翔a 恐田 尚幸a 河合 俊輔b 河口 知允a
a福岡赤十字病院呼吸器内科
b同 循環器内科
*現所属:聖マリア病院呼吸器内科
症例は49歳男性.細菌性肺炎として抗菌薬投与を行ったが改善なく人工呼吸管理を開始した.抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(anti aminoacyl-tRNA synthetase antibody:抗ARS抗体)陽性間質性肺炎の診断で,ステロイドパルス療法やシクロホスファミド(cyclophosphamide)パルス療法を行ったが呼吸状態は悪化,体外式膜型人工肺(extracorporeal membrane oxygenation:ECMO)を導入した.その後治療効果があり,ECMOおよび人工呼吸器は離脱した.後に免疫抑制剤減量中にCK上昇や筋症状が出現し,多発性筋炎の診断となった.急速進行した抗ARS抗体陽性間質性肺炎に対しECMOを用いて救命した1例を経験したため,文献的考察を交えて報告する.
抗アミノアシルtRNA合成酵素抗体(抗ARS抗体) 抗EJ抗体 抗SS-A/Ro-52抗体 体外式膜型人工肺
Received 14 Apr 2021 / Accepted 13 Dec 2021
常岡 祐希
〒815–8555 福岡県福岡市南区大楠3–1–1
福岡赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 11(2): 68-72, 2022