新型コロナウイルス感染症治療後に腹直筋の血腫と膿瘍を発症した1例
近藤 信幸a 春原 涼a 山本 遼a 豊田まどかb 羽鳥 慎祐b 神 靖人a
a平塚共済病院呼吸器内科
b同 外科
症例は51歳女性.新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)に罹患し,人工呼吸管理と体外膜型人工肺を要した.未分画ヘパリン(heparin)による抗凝固療法も開始した.改善し人工呼吸器から離脱,リハビリテーション目的で当院へ転院,エドキサバン(edoxaban)に切り替えた.腹痛を契機に撮影した造影CTで腹直筋血腫と膿瘍を認めた.外科的なドレナージと抗菌薬の投与により軽快した.COVID-19の抗凝固療法により血腫や膿瘍を合併することがあり,造影CTで早期に診断することが重要である.
新型コロナウイルス感染症 腹直筋血腫 腹直筋膿瘍 抗凝固療法
Received 22 Oct 2021 / Accepted 17 Nov 2021
近藤 信幸
〒254–8502 神奈川県平塚市追分9–11
平塚共済病院呼吸器内科
日呼吸誌, 11(1): 21-24, 2022