救命しえた前立腺癌によるpulmonary tumor thrombotic microangiopathyの1例
玉野井大介 稲葉 恵 髙木 僚 須加原一昭 田代 貴大 平田奈穂美
熊本中央病院呼吸器内科
症例は63歳男性.労作時呼吸困難で受診し,血液検査でD-dimer上昇,心臓超音波検査で右室収縮期圧上昇を認めたが,造影CTで血栓なく,前立腺癌を疑う所見を認めた.生検で前立腺癌の診断となり,肺動脈吸引細胞診陽性から,前立腺癌による肺腫瘍塞栓微小血管症(pulmonary tumor thrombotic microangiopathy:PTTM)と診断した.担癌患者で呼吸不全と肺高血圧を認めた場合,PTTMを鑑別に挙げ,迅速な診断と治療をすることが予後改善につながると考えられたため報告する.
肺腫瘍塞栓微小血管症 前立腺癌 肺動脈吸引細胞診 肺高血圧症
Received 8 Jan 2021 / Accepted 10 Mar 2021
玉野井 大介
〒862–0962 熊本県熊本市南区田井島1–5–1
熊本中央病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(4): 378-381, 2021