胸水貯留が発見契機となり胸膜生検で診断した成人リンパ芽球性白血病/リンパ腫の1例
早福はるかa 朝川 勝明a 筒井 裕一a 吉澤 和孝a 寺田 正樹a 難波亜矢子b
a社会福祉法人恩賜財団済生会新潟病院呼吸器内科
b同 血液内科
59歳の女性が呼吸困難と咳嗽を伴う右胸水貯留で当院を紹介受診した.造影CTで右胸膜の肥厚像を認め,軟部影は脊柱管内および下行大動脈周囲まで連続していた.診断目的に胸腔鏡下胸膜生検が行われ,B細胞性急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫と診断された.ビンクリスチン(vincristine),ダウノルビシン(daunorubicin),シクロホスファミド(cyclophosphamide),L-アスパラギナーゼ(L-asparaginase),プレドニゾロン(prednisolone)を併用した寛解導入療法が開始され,胸水,胸膜・縦隔病変は急速に消失した.本例のような胸水貯留が発見契機となる成人B細胞性急性リンパ芽球性白血病/リンパ腫はきわめて稀である.
Received 15 Jan 2021 / Accepted 16 Feb 2021
朝川 勝明
〒950–1104 新潟県新潟市西区寺地280–7
社会福祉法人恩賜財団済生会新潟病院呼吸器内科
日呼吸誌, 10(3): 299-303, 2021