珪酸吸入に起因すると考えられたbronchial anthracofibrosisの1例
山梨大学医学部循環器・呼吸器内科
症例は86歳,元石材業の男性,労作時呼吸困難で受診した.胸部画像では典型的な珪肺の所見はなかったが,肺門・縦隔リンパ節腫大,気管支血管束の肥厚,右B3の閉塞を認めた.18F-FDG PETでは腫大したリンパ節に18F-FDGの集積を,気管支鏡では閉塞部を含め広範な炭粉沈着を認めた.閉塞部の生検と縦隔リンパ節の穿刺細胞診で悪性所見はなく,bronchial anthracofibrosisと診断した.剖検で炭粉沈着を伴って腫大したリンパ節から気管支上皮に連続する炎症性細胞を認めた.元素分析で多量の珪酸が認められ,発病の原因と考えられた.
Bronchial anthracofibrosis(BAF) 珪肺
Received 18 Aug 2020 / Accepted 30 Oct 2020
石原 裕
〒409–3898 山梨県中央市下河東1110
山梨大学医学部循環器・呼吸器内科
日呼吸誌, 10(2): 187-190, 2021