心腔内超音波ガイド下生検により診断しパクリタキセルが奏効した心臓血管肉腫の1例
柳瀬 恒明a 酒井 千鶴a 大野 康a 丹羽 亜弓b 舟口 祝彦c 大倉 宏之a
a国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学循環呼吸病態学第2内科
b同 岐阜大学大学院医学系研究科腫瘍制御学講座腫瘍病理学分野
c朝日大学病院呼吸器内科
45歳女性.咳嗽・血痰・労作時呼吸困難を訴え受診,胸部造影CTで両肺多発斑状影・右房内腫瘤を認め,心腔内超音波ガイド下生検で血管肉腫と病理診断し,肺野病変は多発肺転移と臨床診断した.一次治療としてパクリタキセル(paclitaxel:PTX)による化学療法を行い,約10ヶ月の長期奏効が得られた.増悪後,二次治療でパゾパニブ(pazopanib)の投与を行ったが副作用の血小板減少症が遷延し,投与継続が困難であった.徐々に病勢が進行し,診断から約14ヶ月で死亡した.心臓血管肉腫は難治性であるが,パクリタキセルが有効であった.
心臓血管肉腫 パクリタキセル パゾパニブ 心腔内超音波ガイド下腫瘍生検
Received 2 Sep 2020 / Accepted 16 Dec 2020
柳瀬 恒明
〒501–1194 岐阜県岐阜市柳戸1–1
国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学循環呼吸病態学第2内科
日呼吸誌, 10(2): 127-133, 2021