低肺機能患者における術後肺合併症抑止要因の探索
a国家公務員共済組合連合会虎の門病院臨床生理検査部
b同 呼吸器センター内科
c医療法人財団慈生会野村病院予防医学センター
術前呼吸機能検査でFEV1が1.0L以下の低肺機能患者74例を対象に,術後肺合併症(postoperative pulmonary complications:PPCs)の有無を調査した.本研究ではPPCsは発生しなかったが,14例で手術中止,6例で麻酔様式の変更があった.これら20例を手術計画変更群として非変更群と比較したところ,変更群では%FEV1が50%未満の症例が有意に多かった.また15例で術前呼吸機能訓練が行われ,訓練後にFVCとFEV1が有意に増加した.低肺機能患者の手術においても手術計画変更や術前呼吸機能訓練によってPPCsが抑止された可能性が示唆された.
努力呼出肺活量 呼吸機能検査 術後合併症 呼吸機能訓練 全身麻酔
Received 22 Jul 2020 / Accepted 14 Sep 2020
小川 和雅
〒181–8503 東京都三鷹市下連雀8–3–6
医療法人財団慈生会野村病院予防医学センター
日呼吸誌, 10(1): 10-16, 2021