縦隔病変を伴い両肺多発結節で発見されたカポジ肉腫様血管内皮腫の成人例
児玉 秀治a 吉田 正道a 寺島 俊和a 藤原 篤司a 内山 智子b 大林 千穂b
a三重県立総合医療センター呼吸器内科
b奈良県立医科大学病理診断学講座
42歳女性.検診発見.胸部造影CTで両肺に2~15mm大の多発肺結節影を認め外科的肺生検を行った.病理組織はhematoxylin-eosin染色で卵円形から楕円形核を有する細胞が密に増殖,明瞭な血管構造はみられないが,一部に赤血球を容れた空胞を形成.核異型は乏しく,免疫染色でCD31,CD34,ERGが陽性.形態的に類上皮血管腫を鑑別としたが,多発し縦隔病変も認め,継時的に増大傾向でありカポジ肉腫様血管内皮腫と診断.中間悪性血管性腫瘍で,ほとんどが乳幼児や小児であり,皮膚や後腹膜,縦隔に好発する.成人肺での発見はきわめて稀である.
Received 3 Jun 2020 / Accepted 21 Aug 2020
児玉 秀治
〒510–8561 三重県四日市市大字日永5450–132
三重県立総合医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 9(6): 482-486, 2020