肺内多発空洞病変を認めた第2期梅毒の1例
松島 秀和 木田 言 西沢 知剛 山川 英晃 赤坂 圭一 天野 雅子
さいたま赤十字病院呼吸器内科
症例は,44歳の不特定多数の女性との性交渉歴のある男性.陰茎のただれ,全身皮疹,両眼視力低下が出現,梅毒血清反応高値より第2期梅毒と診断された.胸部HRCTにて多発空洞病変を認め,気管支鏡による細菌学的検索では明らかな病原菌は検出されなかった.アモキシシリン(amoxicillin:AMPC)内服治療のみで胸部HRCT所見の改善を認めたため,本例の肺病変は梅毒によるものと考えた.梅毒症例において,稀ながら肺内病変をきたしうることを認識すべきである.また,空洞性肺病変の鑑別疾患に梅毒も考慮し,皮膚粘膜病変の検討が必要と思われた.
Received 24 Mar 2020 / Accepted 12 Jun 2020
松島 秀和
〒330–8553 埼玉県さいたま市中央区新都心1–5
さいたま赤十字病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(5): 392-396, 2020