肺癌との鑑別を要し免疫学的診断法が有用であった肺吸虫症の1例
馬嶋 秀考a,b 原 哲a 今瀬 玲菜c 神 靖人a 松原 修d 宮崎 泰成b
a平塚共済病院呼吸器内科
b東京医科歯科大学呼吸器内科
c横浜市立みなと赤十字病院呼吸器内科
d平塚共済病院病理診断科
症例は60歳ラオス人男性.咳嗽・左胸痛のため当院を受診した.胸部CTで左上葉腫瘤影を認め,FDG-PET CTで同部位に高集積を認め肺癌が疑われた.しかし経気管支生検では悪性所見はなく,好酸球浸潤を認めた.病歴聴取によりカニの生食歴が判明した.経気管支生検・気管支肺胞洗浄において虫卵や虫体を検出しなかったが,血清抗体検査で肺吸虫症と診断し薬剤治療で治癒した.FDG-PET CTで高集積を認める肺吸虫症では肺癌との鑑別に難渋するが,詳細な病歴聴取が重要で,虫卵・虫体を認めない場合でも免疫学的診断法が有用である.
肺吸虫症 18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography(FDG-PET) 免疫学的診断
Received 4 Jul 2019 / Accepted 31 Oct 2019
馬嶋 秀考
〒113–8510 東京都文京区湯島1–5–45
a平塚共済病院呼吸器内科
b東京医科歯科大学呼吸器内科
日呼吸誌, 9(1): 38-42, 2020