小細胞肺癌治療中に発症し傍腫瘍性辺縁系脳炎との鑑別を要した単純ヘルペス脳炎の1例
奥山 顕子a 山沢 英明b 佐多 将史a 鈴木 拓児a 北村 諭c 萩原 弘一a
a自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
b国際医療福祉大学病院呼吸器内科
c南栃木病院
67歳男性.小細胞肺癌の2次化学療法により抗腫瘍効果が得られていたが,軽度の記憶障害と右前頭葉皮質大脳縦裂部の新規病変が出現した.第6病日に脳病変は両側帯状回まで拡大し,辺縁系脳炎と診断した.アシクロビル(aciclovir)投与,免疫グロブリン静注療法を行ったが,意識状態は悪化し死亡した.治療開始後に髄液中の単純ヘルペスウイルスDNAが陽性と判明し,単純ヘルペス脳炎と診断した.抗癌剤治療中に辺縁系脳炎の発症をみた場合には,傍腫瘍性以外の原因疾患について積極的に検索することが重要である.
小細胞肺癌 辺縁系脳炎 単純ヘルペス脳炎 傍腫瘍性辺縁系脳炎
Received 24 Jun 2019 / Accepted 4 Oct 2019
奥山 顕子
〒329–0498 栃木県下野市薬師寺3311–1
自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
日呼吸誌, 9(1): 28-32, 2020