人工血管アスペルギルス感染症の1剖検例:文献レビューからの臨床像の考察
伊藤 悠a 伊藤 優a 原 悠b 髙橋 良平a 角田 幸雄c 金子 猛b
a横浜労災病院呼吸器内科
b横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学
c横浜労災病院病理診断科
73歳男性.胸部大動脈瘤に対し人工血管置換術を施行した.手術の1年後に血痰が出現し,胸部CT上,人工血管周囲の浸潤影の拡大と人工血管壁内の空気の貯留を認めた.血液中β-D-グルカンおよびアスペルギルスガラクトマンナン抗原の上昇を認め,抗真菌薬を開始するも入院3ヶ月後に脳出血と脳梗塞をきたし死亡した.剖検では人工血管の穿孔と人工血管内腔,脳血管,クモ膜下腔にアスペルギルスの菌糸を認めた.
Received 8 Jul 2019 / Accepted 30 Sep 2019
伊藤 優
〒222–0036 神奈川県横浜市港北区小机町3211
横浜労災病院呼吸器内科
日呼吸誌, 9(1): 23-27, 2020