胸水出現から診断に2年を要したウエステルマン肺吸虫症の1例
名古屋市立東部医療センター呼吸器内科
症例は74歳男性.左大量胸水を指摘され受診した.胸水中好酸球増多を認めたが,血清抗寄生虫抗体検査で有意な上昇を認めなかった.好酸球増多症の診断でプレドニゾロン(prednisolone)が開始され,胸水は減少した.しかし2年後に左胸水の再貯留をきたし,血清抗寄生虫抗体検査を再検したところウエステルマン肺吸虫に対する抗体が陽性であった.問診にて初診前にイノシシ肉の摂取が判明し,ウエステルマン肺吸虫症と診断しプラジカンテル(praziquantel)内服を開始したところ著効した.注意深く病歴を確認することは肺吸虫症を診断確定するために重要である.
ウエステルマン肺吸虫症 好酸球性胸水 イノシシ肉 副腎皮質ステロイド プラジカンテル
Received 16 May 2019 / Accepted 9 Aug 2019
栗山 満美子
〒464–8547 愛知県名古屋市千種区若水1–2–23
名古屋市立東部医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 8(6): 391-395, 2019