自然軽快する病変が複数臓器に異時性に生じ,診断に難渋したリンパ腫様肉芽腫症の1例
山根 宏美 清水ゆかり 坂本一比古 丸山 広高 安道 誠 伊藤 清隆
熊本労災病院呼吸器内科
症例は57歳男性.20XX-5年下肢皮膚潰瘍,20XX-2年8月咽頭潰瘍性病変が出現して自然治癒した.20XX-1年4月気管支肺炎として加療され改善.同時期に左反回神経麻痺が出現して水痘・帯状疱疹ウイルス血管症による多発脳梗塞と同感染による急性網膜壊死症と診断された.この間,胸部異常陰影が出現して1週間で軽快.20XX年10月両肺野に多発結節影やすりガラス影を認め,CTガイド下肺生検でリンパ腫様肉芽腫症(lymphomatoid granulomatosis:LYG)と診断.過去の咽頭部潰瘍もLYGと確認された.LYGは多彩な肺病変や全身病変を呈するが,寛解・増悪する自然経過が確認された稀な症例であり報告する.
Received 14 Mar 2019 / Accepted 18 Jun 2019
山根 宏美
〒866–8533 熊本県八代市竹原町1670
熊本労災病院呼吸器内科
日呼吸誌, 8(5): 359-364, 2019