
検診胸部X線異常を契機に診断に至った無症状の外因性リポイド肺炎の1例
大越 広貴 星野 佑貴 猪股 紀江 曽我美佑介 齊木 雅史 石原 裕
山梨大学医学部循環器・呼吸器内科
患者は72歳の男性.誤って家庭用の殺虫剤スプレーを顔に向けて噴射したが,咳や呼吸困難などの症状は生じなかった.数日後の定期検診の胸部単純X線で両肺野に浸潤陰影を指摘された.経気管支肺生検で得られた検体には脂肪染色で多数の脂肪滴および脂肪貪食マクロファージを肺胞腔や間質に認め,外因性リポイド肺炎の診断に至った.吸入した殺虫剤に含まれていた石油系溶剤が原因物質と考えられた.殺虫剤による外因性リポイド肺炎では無症候性の浸潤陰影をきたすことがあり注意が必要である.
Received 23 Mar 2019 / Accepted 17 Jun 2019
石原 裕
〒409–3898 山梨県中央市下河東1110
山梨大学医学部循環器・呼吸器内科
日呼吸誌, 8(5): 354-358, 2019