乳癌の放射線治療部位に出現した,肺mucosa-associated lymphoid tissueリンパ腫の1例
富士盛文夫 阿部静太郎 太田 毅 影向 晃 牧野 真人 田邊 嘉也
新潟県立新発田病院呼吸器内科
症例は65歳女性.20XX-8年に右乳癌と診断され,乳房切除術後に化学療法と放射線照射50Gyを施行した.20XX-4年より胸部CTで,照射部位に接してすりガラス影が出現した.当初は放射線肺炎と考えられたが,次第に充実性となり帯状に拡大した.20XX年9月に当科へ紹介され,ガイドシース併用気管支内腔超音波診断法(EBUS-GS)および胸腔鏡下肺生検(VATS)による組織生検にて肺mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫と確定診断した.放射線治療と関連した肺MALTリンパ腫の報告は検索した限りでは見当たらず,稀であると考えられる.放射線肺炎の経過でも陰影が拡大する場合は,組織診断の施行が肝要と考えられた.
肺mucosa-associated lymphoid tissue(MALT)リンパ腫 乳癌 放射線治療後 ガイドシース併用気管支内腔超音波診断法(EBUS-GS)
Received 2 Apr 2019 / Accepted 15 May 2019
富士盛 文夫
〒957–8588 新潟県新発田市本町1–2–8
新潟県立新発田病院呼吸器内科
日呼吸誌, 8(5): 312-316, 2019