IgG4関連疾患とRosai-Dorfman病の鑑別を要した胸膜炎の1例
片桐 祐司a 矢作 友保b 刑部 光正c 柳川 直樹d 日野 俊彦a 鈴木 博貴a
a山形県立中央病院呼吸器内科
b同 循環器内科
c岩手医科大学医学部病理診断学講座
d山形県立中央病院病理診断科
症例は76歳男性.全身倦怠感と前胸部不快感を主訴に受診し,心嚢液貯留と胸水貯留を認めた.胸水中にはリンパ球と組織球が多く,リンパ球はCD4陽性Tリンパ球が多かった.またemperipolesisを示すS-100蛋白陽性細胞を認めた.その2ヶ月後の胸膜生検時には胸水中に好酸球の割合が上昇,胸膜生検では著明なリンパ球・形質細胞の浸潤と線維化を認め,血清IgG4も高値でIgG4関連胸膜炎と診断したが,Rosai-Dorfman病との鑑別を要し,疾患病態を考えるうえで示唆に富む症例と考えられたため報告する.
IgG4関連胸膜炎 Rosai-Dorfman病 エムペリポレシス 組織球 Tリンパ球
Received 10 Nov 2018 / Accepted 1 Mar 2019
片桐 祐司
〒990–2292 山形県山形市大字青柳1800
山形県立中央病院呼吸器内科
日呼吸誌, 8(4): 264-268, 2019