多臓器に所見を呈しanti-IFN-γ中和自己抗体が陽性であった播種性MAC症の1例
吉原 実鈴a 高桑 修a,b 河江 大輔a 山羽 悠介a 國井 英治a 秋田 憲志a,b
a名古屋市立西部医療センター呼吸器腫瘍センター・呼吸器内科
b名古屋市立大学大学院医学研究科高度医療教育研究センター
症例は45歳,男性.緩徐進行Ⅰ型糖尿病,糖尿病性腎症で近医に通院中,1週間ほど前からの背部痛が増強したため当院に救急搬送された.両肺多発結節影,肺門・縦隔リンパ節腫大,肝腫大を認め,背部痛についてはMRIで多発椎体炎の所見であった.播種性感染症を考慮し各種抗菌薬治療を行うも効果が得られず,全身状態が悪化.気管支鏡と骨髄生検の抗酸菌培養の結果から播種性Mycobacterium avium complex(MAC)症と診断し,同症に対する抗菌薬治療により多臓器病変および症状の改善を得た.後に抗インターフェロン-γ中和自己抗体陽性が判明し播種性MAC症の基礎疾患と考えられた.
播種性非結核性抗酸菌症 抗インターフェロン-γ中和自己抗体 抗MAC抗体
Received 11 Feb 2019 / Accepted 22 Apr 2019
高桑 修
〒462–8508 愛知県名古屋市北区平手町1–1–1
名古屋市立西部医療センター呼吸器腫瘍センター・呼吸器内科
日呼吸誌, 8(4): 245-249, 2019