空洞形成を伴う巨大腫瘤影を呈した多発血管炎性肉芽腫症の1例
上田 宰a 新屋 智之a 内田 由佳a 木村 英晴b 笠原 寿郎b 北 俊之a
a国立病院機構金沢医療センター呼吸器内科
b金沢大学附属病院呼吸器内科
67歳,女性.ステロイド不応性の多関節痛,発熱,乾性咳嗽,空洞を伴う腫瘤影と多発結節影の精査加療目的に入院した.自覚症状,画像所見,PR3-ANCA高値,経気管支肺生検組織での壊死性肉芽腫性血管炎,急速進行性糸球体腎炎の合併から多発血管炎性肉芽腫症と診断した.ステロイドパルス療法,血漿交換,経口シクロホスファミド(cyclophosphamide)により肺野病変は著明に縮小し,病勢は安定した.発熱や多関節痛を有する肺腫瘤影・多発結節影の症例では,悪性腫瘍や感染症以外に多発血管炎性肉芽腫症も念頭に精査を行う必要性がある.
Received 26 Oct 2018 / Accepted 22 Jan 2019
新屋 智之
〒920–8650 石川県金沢市下石引町1–1
国立病院機構金沢医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 8(3): 198-203, 2019