急性腎不全による透析導入期に化学療法を行い奏効した小細胞肺癌の1例
黒﨑 綾子a 山沢 英明b 佐野 照拡a 山内 浩義a 長井 良昭a 萩原 弘一a
a自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
b国際医療福祉大学病院呼吸器内科
79歳男性.小細胞肺癌と診断され,全身精査のため造影CTを施行後,造影剤腎症を発症し緊急で血液透析を行った.腎機能は改善傾向を認めたが,癌性胸水貯留による呼吸不全が進行し,透析下でカルボプラチン(carboplatin)とエトポシド(etoposide)による化学療法を開始した.その後,胸水は減少し血液透析から離脱し,2コース終了時には腫瘍の縮小を認めた.透析導入期においても肺癌の治療が急がれる場合には,治療による疾患制御の可能性や腎機能障害の予後を評価したうえで化学療法を検討するべきであると考えられた.
Received 18 May 2018 / Accepted 10 Oct 2018
黒﨑 綾子
〒329–0498 栃木県下野市薬師寺3311–1
自治医科大学内科学講座呼吸器内科学部門
日呼吸誌, 8(1): 11-15, 2019