特発性間質性肺炎としてステロイド投与中に診断に至った自己免疫性肺胞蛋白症の1例
吉澤 和孝 朝川 勝明 坂上 拓郎 永野 啓 小屋 俊之 菊地 利明
新潟大学医歯学総合病院呼吸器・感染症内科
症例は73歳,男性.初診時の精査で特発性間質性肺炎と診断された.副腎皮質ステロイドの開始から20ヶ月後にすりガラス影が出現し,病理学的所見,血清抗GM-CSF抗体陽性から自己免疫性肺胞蛋白症(aPAP)と診断した.初診時の保存血清でも抗GM-CSF抗体陽性であり,気管支肺胞洗浄液にPAS陽性物質が存在していることを確認した.潜在的なaPAPがステロイド治療を経て顕在化した経過が考えられた.典型的な臨床所見を呈さない潜在的なaPAPが存在することに留意する必要性が示唆された.
Received 14 Sep 2017 / Accepted 13 Jul 2018
坂上 拓郎
〒951–8510 新潟県新潟市中央区旭町通1番町757
新潟大学医歯学総合病院呼吸器・感染症内科
日呼吸誌, 7(6): 379-383, 2018