侵入経路の特定が困難であった肺内異物(木片)の1例
迫田 頼武 平田 慎治 有村 豪修 高倉 孝二 上野 正克 水田 佑一
社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院呼吸器内科
症例は68歳男性.約1年前から徐々に増悪する左前胸部痛を主訴に来院した.胸部単純CTで左肺S5に,心膜付近から胸膜直下まで連続する不整形腫瘤を認めた.腫瘤内部に線状の高吸収域を認め,肺内異物による肉芽腫の可能性を考え外科的に切除した.病理組織所見では異物による肉芽形成と瘢痕治癒の所見を認め,異物は木片であった.木片の侵入時期は職業歴より約30年前であると考えられた.侵入経路の特定は困難であった.長期間無症状であったが約1年前から胸部痛が出現した原因については,異物の移動や感染の合併などの可能性が考えられた.
Received 16 Dec 2017 / Accepted 2 May 2018
迫田 頼武
〒830–8543 福岡県久留米市津福本町422
社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院呼吸器内科
日呼吸誌, 7(4): 272-275, 2018