心外膜病変を伴い,肺癌との鑑別が困難であった胸部アクチノマイコーシスの1例
a神戸市立医療センター西市民病院総合内科
b同 呼吸器内科
症例は78歳女性.下腿浮腫の原因精査を行い,FDG-PETで右中葉肺癌,胸膜播種,心膜播種が疑われた.気管支鏡検査で診断に至らず,心膜肥厚に伴う拡張障害により循環動態が悪化したため,症状緩和目的にステロイドを使用したところ,心膜結節は膿瘍化し左膿胸をきたした.胸水よりActinomyces israeliiが同定されアクチノマイコーシスの診断に至った.アンピシリン/スルバクタム(ampicillin/sulbactam:ABPC/SBT)を投与し改善した.心膜病変により悪性腫瘍との鑑別に苦慮した点が興味深いと思われたので報告する.
Received 23 Feb 2018 / Accepted 16 Apr 2018
西尾 智尋
〒653–0013 兵庫県神戸市長田区一番町2–4
神戸市立医療センター西市民病院総合内科
日呼吸誌, 7(4): 255-258, 2018