胸腔内原発滑膜肉腫の1例
折茂 真実a 永井 智仁b 藤本 紗代a 松本 卓子c 西村 和幸b 玉置 淳a
a東京女子医科大学内科学第一講座
b埼玉県済生会栗橋病院呼吸器内科
c東京女子医科大学呼吸器外科
症例は72歳,男性.呼吸困難を主訴に当院を受診し,胸部造影CTで胸腔内に突出する胸膜腫瘤病変と胸水貯留を認めた.診断目的に胸腔鏡を施行し,横隔膜側より隆起する多数の腫瘍を認めた.病理組織検査で紡錘形細胞が密在しており,免疫組織化学的検査で確定診断に至らなかった.遺伝子検査でSYT遺伝子の転座が検出され,胸腔内原発滑膜肉腫と診断した.滑膜肉腫は四肢関節近傍の軟部組織から発生する症例が多く,胸腔内原発の滑膜肉腫はまれであり,文献的考察を含め報告する.
Received 24 Mar 2017 / Accepted 28 Jun 2017
連絡先:玉置 淳
〒162-0065 東京都新宿区河田町8-1
東京女子医科大学内科学第一講座
日呼吸誌, 6(5): 341-345, 2017