市中感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌による壊死性肺炎の1例
小高 倫生 新妻久美子 山岸 亨 黒瀬 嘉幸 中野 千裕 松瀬 厚人
東邦大学医療センター大橋病院呼吸器内科
症例は78歳の男性.発熱と全身倦怠感を主訴に来院し,入院時の胸部X線写真,胸部CTで空洞を伴う浸潤影を認め,喀痰培養検査,血液培養検査からMRSAが検出された.本症例は従来認められていたMRSA感染症の危険因子を認めず,CA-MRSAによる壊死性肺炎と診断した.本症例は欧米諸国におけるCA-MRSAと異なり,白血球破壊毒素の一種であるPVLは検出されず,治療により炎症反応は改善傾向を認めたが,肺障害の進行を認め死亡した.
Received 24 Aug 2016 / Accepted 28 Dec 2016
連絡先:小高 倫生
〒153-8515 東京都目黒区大橋2-17-6
東邦大学医療センター大橋病院呼吸器内科
日呼吸誌, 6(3): 160-164, 2017