
14年間の経過観察中に2児の出産を経験した肺ランゲルハンス細胞組織球症の1例
奥村 隼也a,b 滝 俊一a 三田 亮a 大田亜希子c 髙木 康之a 杉野 安輝a
aトヨタ記念病院呼吸器科
b名古屋大学医学部附属病院呼吸器内科
c同 化学療法部
症例は33歳,女性.20歳時に胸痛を主訴に当院受診.胸部単純CT上,両側びまん性多発肺嚢胞を認めた.胸腔鏡下肺生検にてS100蛋白陽性のLangerhans細胞の集簇を認めた.肺以外の病変は認めず,肺ランゲルハンス細胞組織球症と診断した.診断時より禁煙を行い,一部改善を認めたが多発嚢胞は残存した.診断9年後,11年後に出産を経験し,母体合併症なく経過した.肺ランゲルハンス細胞組織球症患者の妊娠・出産報告は少ないが,合併症が多いとされる.母体合併症を認めず2度の妊娠・出産に至った症例はまれであり報告する.
Received 28 Jan 2016 / Accepted 7 Jun 2016
連絡先:奥村 隼也
〒471-8513 愛知県豊田市平和町1-1
トヨタ記念病院呼吸器科
日呼吸誌, 5(5): 274-278, 2016