潰瘍性大腸炎の治療中に発症したインフリキシマブによる薬剤性肺障害の1例
松浦 宏昌 藤原 慶一 渡邉 洋美 佐藤 賢 佐藤 利雄 柴山 卓夫
独立行政法人国立病院機構岡山医療センター呼吸器内科
症例は25歳,女性.治療抵抗性の潰瘍性大腸炎のためインフリキシマブ(IFX)が導入された後,労作時呼吸困難を自覚し当科を受診した.単純CT上両側中下葉中心に非区域性のすりガラス影,濃厚影を認め,気管支鏡下肺生検では器質化肺炎(OP)に矛盾しない組織像を呈していた.IFXによるリンパ球刺激試験が陽性であり,IFXによる薬剤性肺障害と診断し,その後ステロイド治療にて改善を認めた.IFXによる薬剤性肺障害の頻度は肺感染症に比べ低く,OP所見を呈した症例は興味深いと考えられたため報告する.
インフリキシマブ 潰瘍性大腸炎 薬剤性肺障害 器質化肺炎 リンパ球刺激試験
Received 26 Mar 2016 / Accepted 11 Jun 2016
連絡先:藤原 慶一
〒701-1192 岡山県岡山市北区田益1711-1
独立行政法人国立病院機構岡山医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 5(5): 255-258, 2016