胸膜肺全摘を行い長期無再発生存が得られた悪性胸膜中皮腫の1例
服部 健史a 田中 明彦b 深澤雄一郎c 三品泰二郎b 小倉 滋明a 山本 宏司a
a国立病院機構北海道医療センター呼吸器内科
b市立札幌病院呼吸器外科
c同 病理診断科
症例は,58歳の男性.脳梗塞の治療中に,6個の限局した腫瘤を右胸腔内に認めた.胸腔鏡下腫瘍生検で悪性胸膜中皮腫の診断が得られ胸膜肺全摘を行った.個々の腫瘍に連続性がなく,腫瘍間の胸膜には中皮腫の広がりを認めず,孤立性に存在していた.術後放射線療法(45 Gy)を行い,再発を示唆する所見なく7年が経過している.病変が多発しながらも無再発で長期生存が得られた悪性胸膜中皮腫はまれで,胸膜肺全摘術を用いた集学的治療の有用性が示唆されたため報告する.
Received 6 Apr 2015 / Accepted 17 Mar 2016
連絡先:服部 健史
〒063-0005 北海道札幌市西区山の手5-7-1-1
国立病院機構北海道医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 5(4): 194-198, 2016