肝硬変治療中に膿胸として発症したリステリア症の1例
折茂 真実 武山 廉 折茂 圭介 落合 克律 近藤 光子 玉置 淳
東京女子医科大学内科学第一講座
症例は肝硬変で当院にて加療中の66歳,男性で,アルゼンチン旅行から帰国1週間後に発熱と呼吸困難が出現したことから当院救急外来を受診し,低酸素血症と右胸水貯留を認め入院となった.旅行中に多量の乳製品摂取歴があり,胸水培養よりListeria monocytogenesが検出され起炎菌と診断した.膿胸は胸腔ドレナージとペニシリン系抗菌薬の投与により軽快した.リステリア症は人獣共通感染症であり,ヒトでは髄膜炎,敗血症による発症例が多い.膿胸としての発症はきわめてまれであり,文献的考察を加えて報告する.
Listeria monocytogenes 膿胸 アンピシリン 胸腔ドレナージ 肝硬変
Received 5 Oct 2015 / Accepted 7 Jan 2016
連絡先:玉置 淳
〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1
東京女子医科大学内科学第一講座
日呼吸誌, 5(3): 141-144, 2016