肺ノカルジア症と鑑別を要したCorynebacterium durum肺炎の1例
荒川 悠 河瀬 成穂 高岡 誠人 穴吹 和貴 窪田 哲也 横山 彰仁
高知大学医学部血液・呼吸器内科学
患者は60歳,男性.2日前からの発熱と転倒にて救急搬送され,胸部単純CTで多発する空洞性病変が認められた.喀痰グラム染色で放線菌様の形態のグラム陽性桿菌を認め,Kinyoun染色も弱陽性であった.16S rRNAシークエンス解析にてCorynebacterium durumと同定された.抗菌薬投与にて改善し,入院32日目にリハビリテーション目的に転院となった.C. durumによる肺炎の報告は検索範囲内では1例のみであり,抗菌薬選択や治療期間が問題となる肺ノカルジア症とも鑑別を要するため,報告する.
Corynebacterium durum 空洞性病変 Kinyoun染色 16S rRNA
Received 22 Jan 2016 / Accepted 22 Feb 2016
連絡先:荒川 悠
〒783-8505 高知県南国市岡豊町小蓮
高知大学医学部血液・呼吸器内科学
日呼吸誌, 5(3): 137-140, 2016