テネリグリプチンによる薬剤性肺障害の1例
板野 純子 谷本 安 石賀 充典 難波 史代 田中 寿明 宗田 良
独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター呼吸器・アレルギー内科
症例は69歳,女性.2年前から咳嗽を認め,原因不明の間質性肺炎と診断され他院で経過観察中であった.DPP-4阻害薬のテネリグリプチンの内服を開始し,約40日後に咳嗽が増強し当院紹介となった.胸部単純CTで新たに両側びまん性に広がるすりガラス陰影と斑状影,気管支肺胞洗浄液でリンパ球優位の総細胞数上昇を認め,テネリグリプチンに対する薬剤リンパ球刺激試験は陽性を呈し,既存の間質性肺炎に併発したテネリグリプチンによる薬剤性肺障害と診断した.近年DPP-4阻害薬による薬剤性肺障害は増加しており注意を要す.
Received 16 Oct 2015 / Accepted 15 Feb 2016
連絡先:谷本 安
〒701-0304 岡山県都窪郡早島町早島4066
独立行政法人国立病院機構南岡山医療センター呼吸器・アレルギー内科
日呼吸誌, 5(3): 126-130, 2016