多発肺転移に絨毛癌症候群を合併し,急激な転帰をたどった精巣腫瘍の1例
東 盛志 古屋 直人 曽我美佑介 筒井 俊晴 柿崎有美子 宮下 義啓
山梨県立中央病院呼吸器内科
症例は25歳,男性.腰痛,咳嗽,血痰を主訴に近医受診し,胸部X線写真で両側全肺野に多発する結節影を認めた.Human chorionic gonadotropin(hCG)が著明高値であり,単純CT画像で多発肺結節影,後腹膜腫瘤,左精巣腫瘍を認め,高位精巣摘除術で成熟奇形腫と診断され,絨毛癌成分を転移巣に含むburned-out tumorと考えた.BEP療法を施行したが,絨毛癌症候群を合併し,肺転移巣からの出血がコントロールできず,急速に呼吸不全が進行し死亡した.精巣腫瘍のうちhCG高値例では絨毛癌症候群に留意する必要があると考えられた.
Received 17 Nov 2015 / Accepted 22 Feb 2016
連絡先:東 盛志
〒400-0027 山梨県甲府市富士見1-1-1
山梨県立中央病院呼吸器内科
日呼吸誌, 5(3): 121-125, 2016