特発性肺線維症の急性増悪に対するリコンビナントトロンボモデュリンの有用性
阿部 岳文a 横村 光司a 後藤 彩乃a 赤堀 大介a 幸田 敬悟a 小谷内敬史a 角谷 拓哉a 榎本 泰典a 松井 隆a 須田 隆文b
a聖隷三方原病院呼吸器センター内科
b浜松医科大学内科学第二講座
特発性肺線維症の急性増悪に有効性の確立した治療薬はないが,近年リコンビナントトロンボモデュリンが注目されつつある.当院でも本疾患に対し同剤による治療を複数経験したため,その有用性を検討した.急性増悪29例の予後を投与群12例,非投与群17例に分けて後方視的に検討したところ30日/90日生存率は投与群75%/67%,非投与群46%/40%であり,投与群で高い傾向がみられた.問題となる副作用は認められずリコンビナントトロンボモデュリンは特発性肺線維症の急性増悪の予後を改善させる可能性が考えられた.
特発性肺線維症 急性増悪 リコンビナントトロンボモデュリン 凝固亢進
Received 23 Jun 2015 / Accepted 16 Nov 2015
連絡先:阿部 岳文
〒433-8558 静岡県浜松市北区三方原町3453
聖隷三方原病院呼吸器センター内科
日呼吸誌, 5(2): 57-63, 2016