無治療の特発性肺線維症に合併した肺フサリウム症の1例
児玉 秀治 吉田 正道 寺島 俊和 前田 光 藤原 篤司 油田 尚総
三重県立総合医療センター呼吸器内科
症例は70歳,男性.特発性肺線維症を無治療で画像経過追跡中.胸部単純CTでair-fluid levelを伴う陰影が出現し気管支洗浄を施行.洗浄液培養でFusarium solaniが検出され,再検でもFusarium sp.を確認.炎症所見があり,治療反応をみるためアムホテリシンBリポソーム製剤を使用したが変化なく慢性感染症と判断.しかし,後に患者は発熱胸痛,陰影悪化で入院.抗菌薬への反応は乏しく,ボリコナゾール投与で軽快したため肺フサリウム症と最終診断した.フサリウムによる呼吸器感染症はきわめてまれで治療報告も乏しく,貴重な症例と考えた.
Received 11 Apr 2015 / Accepted 20 Oct 2015
連絡先:児玉 秀治
〒510-8561 三重県四日市市大字日永5450-132
三重県立総合医療センター呼吸器内科
日呼吸誌, 5(1): 37-40, 2016