関節リウマチの治療中に合併した播種性ノカルジア症の1例
製鉄記念八幡病院呼吸器内科
症例は59歳,男性.関節リウマチ,間質性肺炎に対してプレドニゾロン,サラゾスルファピリジン,タクロリムスを投与中であった.入院12日前に湿性咳嗽が出現し,近医で胸部異常影を指摘され当院紹介.入院時,人工呼吸管理を要する著明な低酸素血症を認め,18時間後に死亡した.病理解剖で両肺,両腎,肝,骨にNocardia属細菌による化膿性壊死性肉芽腫性病変を認め,経気道感染を契機とした播種性ノカルジア症と診断した.免疫低下状態では,肺ノカルジア症は急速に全身へ播種することがある.
肺ノカルジア症 播種性ノカルジア症 Nocardia brasiliensis Nocardia veterana 関節リウマチ
Received 9 Jun 2015 / Accepted 13 Oct 2015
連絡先:緒方 大聡
〒805-8508 福岡県北九州市八幡東区春の町1-1-1
製鉄記念八幡病院呼吸器内科
日呼吸誌, 5(1): 32-36, 2016