
プラセンタによる薬剤性好酸球性肺炎の1例
石本 裕士 矢寺 和博 笹原 陽介 花香 哲也 小田 桂士 迎 寛
産業医科大学医学部呼吸器内科学
症例は52歳の女性で,主訴は湿性咳嗽と微熱であった.胸部X線写真にて右上中肺野の浸潤影がみられ,胸部単純CTでは,びまん性の斑状すりガラス状陰影が広がっており,末梢血と気管支肺胞洗浄液中の好酸球上昇が認められた.薬剤性肺障害を考慮して,2年ほど前から常用していた豚胎盤抽出液を含むサプリメント(プラセンタ)を中止したところ症状は軽減し,胸部異常陰影と末梢血中の好酸球は減少した.本報告は,美容や健康増進を目的に広く流通しているプラセンタにより薬剤性肺障害が生じた初めての症例報告である.
Received 24 Mar 2015 / Accepted 10 Jul 2015
連絡先:石本 裕士
〒807-8555 福岡県北九州市八幡西区医生ヶ丘1-1
産業医科大学医学部呼吸器内科学
日呼吸誌, 4(6): 464-467, 2015