Mycobacterium kansasiiによる胸膜炎の1例
揚塩 文崇a 松井 秀記a 香川 浩之a 里見 明俊a 中川 勝b 森 雅秀a
a国立病院機構刀根山病院呼吸器内科
b関西ろうさい病院内科
症例は湿性咳嗽と微熱で発症した77歳,男性.胸部単純CTでは右下葉の小さな浸潤陰影と中等量の胸水を認めた.胸水はリンパ球優位,ADA高値で,結核性胸膜炎を疑った.胸腔鏡検査は同意されず,イソニアジド,リファンピシン,エタンブトールの3剤で診断的治療を開始した.入院4週後,胸水培養でMycobacterium kansasiiが検出され,M. kansasii胸膜炎と診断した.副作用により一部治療薬の変更を行ったが,ステロイドも併用して胸水は減少した.胸膜炎を合併したM. kansasii症はきわめてまれであるが,その病態は他の抗酸菌による胸膜炎に類似している.
非結核性抗酸菌 Mycobacterium kansasii 胸水 胸膜炎
Received 26 Dec 2014 / Accepted 28 Apr 2015
連絡先:森 雅秀
〒560-8552 大阪府豊中市刀根山5-1-1
国立病院機構刀根山病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(5): 413-416, 2015