手指の結核性腱鞘炎を合併した肺結核の1例
酒井 啓行 安斎 正樹 門脇麻衣子 梅田 幸寛 飴嶋 慎吾 石塚 全
福井大学医学部附属病院呼吸器内科
症例は27歳,女性.右示指の腫脹と胸部異常影で当院を紹介受診した.右示指の滑膜切除組織で類上皮細胞肉芽腫が認められた.クオンティフェロン検査と胸部CTより,結核性腱鞘炎合併肺結核と臨床診断した.その後,治療前に採取した胃液より結核菌が培養された.滑膜切除術と化学療法により,右示指の腫脹と胸部異常影は改善した.治療開始の遅れが関節機能の破壊につながるため,難治性の手指の腫脹を観察した場合,結核性腱鞘炎を鑑別診断にあげる必要性が示唆された.
Received 28 Jan 2015 / Accepted 27 Apr 2015
連絡先:酒井 啓行
〒910-1193 福井県吉田郡永平寺町松岡下合月12-3
福井大学医学部附属病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(5): 408-412, 2015