肺動脈吸引細胞診で腫瘍細胞を証明した乳癌による肺動脈腫瘍塞栓症の1例
山本 学a,b 高柳 昇a 石黒 卓a 鍵山 奈保a 清水 禎彦c 杉田 裕a
a埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
b長野赤十字病院呼吸器内科
c埼玉県立循環器・呼吸器病センター病理診断科
症例は82歳,女性.8日前より倦怠感,労作時呼吸困難を認め,急速に呼吸困難が増強したため埼玉県立循環器・呼吸器病センターを受診した.胸部単純CTでは小葉間隔壁の肥厚,軽度のすりガラス状陰影,肺動脈拡張を認めた.肺血流シンチグラフィで多発する肺末梢側の欠損を認め,深部静脈血栓症はなかったことから肺動脈腫瘍塞栓症を疑った.肺動脈吸引細胞診を施行して癌細胞を検出したが,原発巣は特定できず急速に肺高血圧症が進行して第14病日に死亡した.病理解剖で乳癌およびその肺転移と診断した.
Received 26 Dec 2014 / Accepted 27 Apr 2015
連絡先:山本 学
〒360-0965 埼玉県熊谷市板井1696
埼玉県立循環器・呼吸器病センター呼吸器内科
日呼吸誌, 4(5): 370-374, 2015