多量の黒色胸水で発見された悪性黒色腫の1例
宇佐川佑子a 水之江俊治b 藤田 直子a 梅木 健二c 山﨑 透b 門田 淳一c
a大分県厚生連鶴見病院呼吸器内科
b大分県立病院呼吸器内科
c大分大学医学部呼吸器・感染症内科学講座
症例は41歳,女性.咳嗽と呼吸困難を主訴に受診し胸部X線写真,造影CTで右多量胸水を認めた.胸腔ドレーンを挿入したところ胸水は褐色~黒色で,細胞診で微細な褐色顆粒を含む軽度の異型性を示す細胞が多数検鏡され,免疫染色の結果から悪性黒色腫と診断された.全身検索では多発性に転移を認め化学療法が施行された.悪性黒色腫は通常皮膚病変から診断されることが多く,多量胸水とそれによる呼吸器症状から発見される症例はまれである.黒色の胸水を呈する場合は悪性黒色腫も念頭に置き,皮膚病変の検索も含めた精査を考慮する必要がある.
Received 14 Jan 2015 / Accepted 18 May 2015
連絡先:宇佐川 佑子
〒874-8585 大分県別府市大字鶴見4333
大分県厚生連鶴見病院呼吸器内科
日呼吸誌, 4(5): 361-364, 2015